干支の絵本|なぜ猫は十二支に入れなかったのか

この物語は、十二支の由来として日本で広く親しまれている昔話をもとに再構成したものです。干支の本来の意味については> 干支の意味とは?をご参照ください。

むかしむかし、あるところに、神様がおりました。神様は動物たちをとても大切にしていましたが、ある日、一つの決めごとをしようと思い立ちます。

神様が動物たちに告げる場面

「元旦の朝、わたしのもとへ来なさい。先に到着した12匹を、順番に一年ずつの守り神にしよう」。神様の声は、山を越え、川を渡り、すべての動物たちのもとへ届きました。動物たちはざわめき、それぞれが「一番乗りは自分だ」と意気込みます。

牛の背中に乗るねずみ

誰よりも早く準備を始めたのは、真面目な牛でした。「自分は足が遅い。だから夜のうちに出発しよう」。牛は暗いうちから黙々と歩き始めます。しかし、その背中には小さな乗客が。ねずみは牛の大きな体にこっそり飛び乗り、ゆらゆらと揺られていたのです。

ねずみが牛から飛び降りて一番乗り

夜明けとともに神様の御殿が見えてきました。牛が門の前に着いた、まさにその瞬間。ねずみは牛の頭からぴょんと飛び降り、一番乗りを果たしました。「子(ね)、一番!」。神様は微笑みながらねずみを迎え入れます。

二番目に到着した牛

牛は少し悔しそうに、けれども堂々と二番目に名乗りを上げました。「丑(うし)、二番」。真面目にコツコツと歩いてきた牛の姿に、神様はうなずきます。早起きと忍耐の力が、牛を二番目の座に導いたのです。

次々と到着する動物たち

やがて、力強い虎が三番目に駆け込み、素早い兎が四番目に跳んできました。空を翔けてきた龍が五番目、知恵深い蛇が六番目。俊足の馬が七番目、穏やかな羊が八番目。器用な猿が九番目、朝を告げる鶏が十番目。忠実な犬が十一番目、そして猪が十二番目に滑り込みました。

ねずみが猫に嘘を教える

ところで、猫はどうしていたのでしょう。実は猫は神様のお触れをよく聞き取れず、仲の良いねずみに「集まりはいつ?」と尋ねていたのです。ねずみは少し考えて、こう答えました。「二日だよ」。猫は「ありがとう」と安心して、ぐっすりと眠りにつきました。

一日遅れで駆けつける猫

翌日の朝、猫は元気いっぱいに飛び起き、神様のもとへ走りました。「今日が集まりの日だ!」。太陽はすでに高く昇り、道にはほかの動物たちの姿はありません。猫は嫌な予感を抱えながら、息を切らして走り続けます。

十二支が決まったことを知る猫

神様の御殿に着いた猫が見たのは、すでに閉じられた門と、その向こうで誇らしげに並ぶ12匹の動物たちでした。「もう12匹は決まったよ」。神様の言葉に、猫はその場に座り込みました。一日の遅れが、千年の後悔になったのです。

ねずみを追いかける猫

真実を知った猫は、怒りに震えました。「ねずみが嘘をついたのだ!」。それ以来、猫はねずみを見つけるたびに追いかけるようになりました。今日まで続くこの追いかけっこは、あの日の約束から始まったのです。

この物語が教えてくれること

現代ビジネスへの示唆

十二支の物語は、単なる昔話ではありません。「一日の遅れが運命を変える」というタイミングの重要性、「情報の正確さが結果を左右する」という教訓、そして「ずる賢さは短期的に勝てても、長期的には信頼を失う」というビジネスの本質を、動物たちの姿を通じて伝えています。

現代のビジネスでも、「攻めるべき時期を逃す」ことの損失は計り知れません。干支の活学では、五行のリズムから「今が攻め時か守り時か」を読み解く方法を体系化しています。猫のように「一日遅れ」にならないために、自分自身の干支と時の流れを知ることが大切です。

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参考文献

  • 武光誠『日本人にとって干支とは何か:東洋の科学「十干・十二支」の謎を解く』KAWADE夢新書、ISBN: 978-4309502519